Surah At-Tariq
بِسْمِ اللّٰهِ الرَّحْمٰنِ الرَّحِيْمِ
وَالسَّمَاۤءِ وَالطَّارِقِۙ١
Was-samā'i waṭ-ṭāriq(i).
[1]
天と、夜訪れるものにかけて(誓う)。¹
1 アッラー*によるこの誓いについては、整列者章1の訳注を参照。
وَمَآ اَدْرٰىكَ مَا الطَّارِقُۙ٢
Wa mā adrāka maṭ-ṭāriq(u).
[2]
そして、夜訪れるものが何かを、何があなたに知らせるか?
النَّجْمُ الثَّاقِبُۙ٣
An-najmuṡ-ṡāqib(u).
[3]
(それは)穿ち煌めく星¹である。
1 夜に現われ、昼には姿を隠す星が、「夜訪れるもの」と形容されている(イブン・カスィール8:374参照)。
اِنْ كُلُّ نَفْسٍ لَّمَّا عَلَيْهَا حَافِظٌۗ٤
In kullu nafsil lammā ‘alaihā ḥāfiẓ(un).
[4]
いかなる者でも、その上に見守る者(天使*)¹がついていない者はない。
1 この天使*たちについては、雷鳴章11の訳注も参照(前掲書8:375参照)。
فَلْيَنْظُرِ الْاِنْسَانُ مِمَّ خُلِقَ٥
Falyanẓuril-insānu mimma khuliq(a).
[5]
では人間に、自分が何から創られたのか、考えさせてみよ。
خُلِقَ مِنْ مَّاۤءٍ دَافِقٍۙ٦
Khuliqa mim mā'in dāfiq(in).
[6]
彼は、射出する液体¹から創られたのだ。
1 「射出する液体」とは、子宮に射出される精液のこと(ムヤッサル591頁参照)。
يَّخْرُجُ مِنْۢ بَيْنِ الصُّلْبِ وَالتَّرَاۤىِٕبِۗ٧
Yakhruju mim bainiṣ-ṣulbi wat-tarā'ib(i).
[7]
後背部と、胸部の間から分泌される(、液体から)。¹
1 「後背部と胸部」には、「男性の精液が、そこで分泌される」「男性の精液が後背部で女性の精液が胸部で分泌される」という解釈(アッ=サアディー919頁参照)のほか、「前者が男性、後者が女性を表している」という説もある(アル=カースィミー17:6124参照)。また、人間の創造の変遷については、巡礼*章5、信仰者たち章14も参照。
اِنَّهٗ عَلٰى رَجْعِهٖ لَقَادِرٌۗ٨
Innahū ‘alā raj‘ihī laqādir(un).
[8]
本当にかれ(アッラー*)は、彼を(その死後に、生きた状態へと)戻すことがお出来のお方。¹
1 関連するアーヤ*として、ビザンチン章27も参照(イブン・カスィール8:375参照)。
يَوْمَ تُبْلَى السَّرَاۤىِٕرُۙ٩
Yauma tublas-sarā'ir(u).
[9]
秘められたことが試される(、復活の)日*に。¹
1 その日、善悪の別なく、人が隠していた全ての物事と、心に秘めた信仰心と不信仰が露(あら)わ になる(アル=クルトゥビー20:8参照)。
فَمَا لَهٗ مِنْ قُوَّةٍ وَّلَا نَاصِرٍۗ١٠
Famā lahū min quwwatiw wa lā nāṣir(in).
[10]
ならば、後には、(自分自身からアッラー*の懲罰を押しのける、)いかなる力も援助者もない。
وَالسَّمَاۤءِ ذَاتِ الرَّجْعِۙ١١
Was-samā'i żātir-raj‘(i).
[11]
回帰するもの¹を有する、天にかけて、
1 「回帰するもの」の解釈には、「(降っては止むのを繰(く)り返す、あるいは海から水を湛(たた)えて 大地に戻って来る)雨」「(出現しては姿を隠す)天体」「(人間の行いと共に、天へと戻って行く)天使*」などといった諸説がある(アッ=シャウカーニー5:560-561参照)。
وَالْاَرْضِ ذَاتِ الصَّدْعِۙ١٢
Wal-arḍi żātiṣ-ṣad‘(i).
[12]
また、(植物を生えさせるべく、)亀裂を有する大地にかけて(誓う)、¹
1 同様のアーヤ*として、眉をひそめた章26も参照。また、アッラー*によるこの誓いについては、整列者章1の訳注を参照。
اِنَّهٗ لَقَوْلٌ فَصْلٌۙ١٣
Innahū laqaulun faṣl(un).
[13]
本当にそれ(クルアーン*)は、(真理と虚偽を)裁断する御言葉であり、
وَّمَا هُوَ بِالْهَزْلِۗ١٤
Wa mā huwa bil-hazl(i).
[14]
戯言ではない。
اِنَّهُمْ يَكِيْدُوْنَ كَيْدًاۙ١٥
Innahum yakīdūna kaidā(n).
[15]
本当に彼ら(使徒*とクルアーン*を噓呼ばわりする者たち)は、(真理を退けるための)策略を講じている。
وَّاَكِيْدُ كَيْدًاۖ١٦
Wa akīdu kaidā(n).
[16]
われも策略¹を講じるのだが。
1 この「策略」とは、かれらが知らない所から、徐々に破滅(はめつ)へと導いて行くこと(アル=バガウィー5:240参照)。その具体例については、家畜章44を参照。
فَمَهِّلِ الْكٰفِرِيْنَ اَمْهِلْهُمْ رُوَيْدًا ࣖ١٧
Fa mahhilil-kāfirīna amhilhum ruwaidā(n).
[17]
ならば(使徒*よ)、(懲罰が下ることを急がずに、)不信仰者*に猶予を与えよ。彼らに暫し、猶予を与えるのだ。